すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
このトキ、拓海は何を思っていたのかな――?
「え・・・アメリカ!?」
目を見開かせて、部屋中に響き渡る声を出した。
「あぁ、向こうで色々と勉強してくるんだ。
前から決めてたけど、予定よりも早まって…。
遅くても、来月初めには出発かな?」
ニコッと笑って話す拓海の表情で、さらに呆然としてしまう。
「そんな・・・」
寂しさに包まれて、言葉がまともに出て来ないあたし。
「せっかくのココアが冷めるぞ?」
クスッと笑って、ソレを飲むように勧めてくるけれど。
カップに口をつけて、優雅にコーヒーを飲む姿を捉えつつ。
「・・・・・」
湯気と甘い香りを立てる大好きなココアには、手をつけられなかった。