すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
こうして迎えに来る蘭の表情は、いつも優れない。
心の底から笑っていた、昔とはまるで違う。
以前のような、キラキラとした輝きが失われているんだ。
それは多分・・・、秘書の仕事がイヤなのか?
それとも・・・、俺に対しての嫌悪感からか?
どちらにしろ、二つの一つの理由しかない・・・
やっとの思いで、再会出来たというのに。
迎えに行けるようにと、それだけを考えていたのに。
何なんだろうな…、この異様な空気は――
「早く行くぞ…」
どうしても声を掛けずにはいられない。
ワザと歩く速度を遅めたり、少し立ち止まってみたり。
陰ながら、隣を歩かせるように待っているのだが。
決して追いつこうとしない蘭に、諦める外ないかもな・・・。