すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
助手席に乗っていても、取り留めのない会話しかしない。
というより、スケジュール確認程度で話が終わってしまう。
いや…、必要以上に距離を置いているんだ。
俺たち、2人ともが互いに・・・
そうして出社すると、余計に蘭の顔は強張っていく。
“ホント、ムカつくー!”
“召し使いなのよ、あの子は!”
「・・・・・」
蘭の容姿に嫉妬しているのか、俯き加減で歩くせいなのか。
俺に聞こえるのも構わず、いつも野次を飛ばされている。
カバンを持つ手に、ギュッと力を籠めて耐えていて。
この場のヤツらを一喝出来れば、守ってやれるのに――
それでも俺は、スルーしなければならない・・・