すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
東条グループ企業のCMに出演した際、親父と出会ったお袋。
どうやら堅物の親父の方が、見初めたらしい・・・
国民的スターの地位から退いて、親父と結婚したのだ。
だが…、お袋の実家は、普通を絵に描いたような家庭。
嫁いで来てからは、気苦労が耐えなかったようだ。
謂れのない中傷や、周囲の人間の陰湿さに・・・
俺を出産すると、周りはさらに厳しさを増したらしい。
幼い頃は真夜中に、お袋のすすり泣く声が聞こえていた。
栄華を誇る、東条というブランドの重圧や責任。
初めての子育てだと言うのに、期待ばかりが掛けられて。
その嫡子を育てるという、苦しみもあっただろう。
まして親父は、国内外を飛び交っているほど多忙で。
頼れる者がいないという、孤独と不安が募っていた筈だ。