すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
だからこそ…、こうして試されているのだ。
東条家と佐々木家の関係は、それほど難しいモノで。
【蘭ちゃんの苦しみは、私なんて比じゃないわ・・・】
この言葉通りに俺は、きっと蘭を苦しめるのだろう。
エレベーターを降りて、広々とした静かなフロアを歩く。
もう誰もいないというのに、此処でも後ろをついて来る。
この距離が縮まるのは、いつの事だろうな・・・?
「どうぞ…」
カバンを差し出しつつも、俯き加減のまま耐えている。
今にも泣きそうなのに、ホントに頑固だ・・・
グイッ――
だから、カバンを持つ手ごと引き寄せた。
トンと弾みがついて、俺の胸へと雪崩れ込むほどの力で。
「今日はまず、此処で仕事だ・・・」
オマエに言える日が来るまで、どうか許してくれ――
【拓海の本心・END】