すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
泣きそうになると、必死で肩を小刻みに揺らして耐えている姿。
周りから謂れのない中傷をされようが、どうにも出来ない歯痒さ。
周りの男どもから蘭に向けられる、不快極まりない視線。
それらから守る手立てがあろうが、抑えなければならないという残酷さ。
俺のモノだと言わしめたいのに、口外など許されないという現実。
東条家に生まれた運命は、諦めと責任という感情が何度もカバーしてきたが。
蘭を守るどころか、自ら傷つけている事に対してだけは。
東条の名前を持つ自身に、後悔の念だけが募っていた日々・・・
それでも柵に囚われて、蘭を失う事など絶対に無理だった。