すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
メルセデスの秘密・拓海視点
それはいつもと同じように、朝食を食べていた時のこと――
広々としたダイニングテーブルだというのに。
向かいの席でニコニコと笑って、俺が食べている様子を見ている人物。
これも恒例の事なので、もう気にも止めていないが・・・
「ねぇ、拓海ー?」
とても年相応とは思えないような、甘い声で話し掛けられて。
「…何か・・・?」
呼ばれたので仕方なく、視線だけを前方に向けて見返した。