すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
貴方になら、東条を任せても大丈夫…――
そう思えるほど、頭を上げた拓海の瞳は煌々としていた。
その表情はまさに、私にプロポーズしてくれたトキの健斗さんと同じ表情で。
「理沙子、どうした?」
「う、ううん…」
何処か懐かしささえ感じて、涙が頬を伝っていったの・・・
東条の人間として厳しく育ててきた息子が、ようやく愛しい子と結婚する。
小さな頃から拓海の眼を見ていれば、蘭ちゃんを好きな事は分かっていたし。
本人は抑えていたつもりみたいだけれど、母親には一目瞭然だったわ――
そんな私も可愛い蘭ちゃんが大好きで、結婚も大賛成だったけれど。
“条件をクリア出来たら認める”と、2人には敢えて試練を与えたの。