すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
旧知の間柄ゆえに。
社会に出て数年…、まだまだ未熟者だと実感させられてはいるが。
毎日バタバタと慌しく、それでも充実した時を送っていると思う。
アイツが正式に入社してからは、なおさらかな・・・
コンコン――
部長室の重厚な扉をノックする音で、仕事の手を止めて顔を上げると。
「はい、いいよ」
返事をして入室を許可すれば、ガチャリと音がしてドアが開かれた。
「お忙しいところ、失礼いたします。
桜井部長、社長より預かり物ですのでお願いいたします」
遠慮がちに入室して来たのは、アイツの愛しい女の子。
もとい、社長秘書をしている佐々木 蘭ちゃん。
「佐々木さん、ありがとう」
何も知らない彼女に、馴れ馴れしくは出来ないが…。
いや、アノ男がまたヤキモチを妬くだけだろうし・・・