すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
幼馴染みの彼女を秘書に置くほど、愛しているというのに。
それを素直に伝えられる立場に無いのは、アイツの背負う宿命で。
“とある条件”を果たすまでは、そんな感情を出す事が出来ない男。
それが東条という、ネームバリュー故なのだろう・・・
俺こと桜井 祐史は、この会社の役員であり、総務部の部長を務めている。
ちなみに総務部に職を置いているのは、今後の為であって。
今は思いきり裏方だが、拓海のサポートをし易い部署だからだ。
さらに執行役員という位置づけは、伸び伸びと仕事をさせて貰えるが。
期待を掛けられた以上出来て当たり前で、プラスアルファを求められる。
なかなか手厳しいが、対価が大きい分は致し方の無い事だな…――
「オマエ、またヤッたのか?」
あれから1時間以内に、閉ざされた社長室の扉をガチャリと開けた。
蘭ちゃんから預かった書類を持参し、ヤツの巣窟へと乗り込んだのだ。