すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
ワザと呆れた物言いをしても、嫌味なほどにポーカーフェイスの男。
これが年下に思えないほど、ヤケに落ち着き払っているんだ・・・
「あぁ、ヤったけど?」
「目立つトコにつけんなよ」
「何を・・・?」
俺の皮肉交じりの問い掛けを、サラリとかわしたあと。
今度はこちらに尋ね返してくる、ある意味タチの悪いヤツ。
「…ハァ、キスマークだっつーの!
他の男が見たら、彼女がどう思われるか考えろよ?」
「フッ、そんなの気にしたところじゃない。
むしろ、他のヤツらに見せつける為だし?」
それでも整いすぎた顔立ちが、嫌味さ加減をオブラートに包んでしまう。
ただ今秘書課で仕事をこなす彼女が、不憫に思えてしまう。