すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
俺がさした、マズイ事態というのは・・・
TS商事が当社の内部情報を、得意先にリークしようとしている件で。
これが明るみとなったのは、蘭ちゃん絡みという皮肉なモノだ。
彼女は意外と頑固で、後藤社長の事は何も話そうとはしないし・・・
「これだけあれば十分だろ?
あとは立川から引き出せば、追い込むだけの材料は揃ったよ」
焦りも不安も億尾に出さずに飄々としている、東条グループトップに立つ男。
「あぁ…、ギリギリまで俺も粘ってみるが…。
ムチャだけはするなよ・・・?」
何よりも大切な蘭ちゃんが絡んでいるからこそ、流石に心配もしたくなる。
「…手に入れるべきモノのハードルが、少し高くなっただけだ。
この先、何があっても離すつもりは無い」
「そうか・・・」
その言葉の“主語”が抜けてると、ツッコミを入れたくなったが…。