すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~



俺がさした、マズイ事態というのは・・・



TS商事が当社の内部情報を、得意先にリークしようとしている件で。



これが明るみとなったのは、蘭ちゃん絡みという皮肉なモノだ。




彼女は意外と頑固で、後藤社長の事は何も話そうとはしないし・・・




「これだけあれば十分だろ?

あとは立川から引き出せば、追い込むだけの材料は揃ったよ」



焦りも不安も億尾に出さずに飄々としている、東条グループトップに立つ男。




「あぁ…、ギリギリまで俺も粘ってみるが…。

ムチャだけはするなよ・・・?」


何よりも大切な蘭ちゃんが絡んでいるからこそ、流石に心配もしたくなる。




「…手に入れるべきモノのハードルが、少し高くなっただけだ。

この先、何があっても離すつもりは無い」



「そうか・・・」


その言葉の“主語”が抜けてると、ツッコミを入れたくなったが…。




< 75 / 79 >

この作品をシェア

pagetop