すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
ねぇ、拓海・・・
やっと、やっと、貴方の中で泣いても良いの――?
「ごめんな…」
貴方が切ない声色を響かせながら、私にそっと呟くから…。
もう崩壊寸前だった留め金は、ガチャンと大きな音を立てて壊れたの。
壊れてしまった物は、もう修復なんて出来ナイから。
本能の赴くままにギュッと、ホワイトムスクの香りに縋りついていた…。
もう貴方の傍を、絶対に離れるコトなんて出来ナイの…――
貴方がいれば、お金も、名誉も、名声も、何もかもイラナイ。
欲しいモノは、拓海だけ・・・
欲しいモノは、蘭だけだ・・・
愛おしい貴方しか、イラナイよ・・・
【終】