すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
「蘭ー!」
手を振りながら、蘭の許へと駆けて行く。
「あっ、拓海ー!
今日はバイオリンじゃないの?」
満面の笑みでこちらを見ると、手を振り返してくれた。
「ちょっとだけ…ね?」
「ほんとぉ?
それじゃあ、蘭とお話して!?」
「うん!」
その笑顔を見ただけで、途端に楽になれた。
「拓海、また公園に行こうね?」
「うん、もちろん!」
泥だらけになっていても、蘭はキラキラしていて。
幼い俺は何度、救われたのだろう・・・
この時は単純に、蘭が大好きだった。
自由に羽ばたいている蘭が、すごく羨ましかった。
そのままで、俺が変わらなければ・・・
ずっと隣で、笑っていてくれたのか?
―拓海side―
【幼き日END】