さよならの十秒前
女性のほうが、私に答えてくれた。

「いえ…私たちの手元にありますよ」

やっぱり。

坂井奈緒のお母さんだ。

私はもう一度、ぺこりと頭を下げた。

「あの、私、島井といいます。小泉修介くんと友達で」

「まぁ、修介くんと?」

「はい、それから、南原紗枝とも」

「…どうしたんだ?島井」

北村先生が不思議そうな顔をした。

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