さよならの十秒前

真実

7月30日。曇りのち晴れ。

朝っぱらから、修介に電話した。

「今から会える?」

「…あぁ」

修介の声はいつもと変わらなかったけれど、私の胸はざわついていた。

もしかしたら、修介に会うのは、今日が最後になるかもしれない。

少し苦しい思いを吹っ切るように、私は顔を二、三度叩いて家を出た。

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