さよならの十秒前
公園には、いつもの赤いベンチに既に修介がいた。

こちらに気付いて、ふわりと笑って手を挙げた。

反対に私の表情はきっと、ぎこちない。

ロボットみたいな動きで、修介の隣に座った。

「…坂井奈緒のお母さんに会った」

「そう」

お互い目を合わせず、前を向いたまま話し始めた。

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