さよならの十秒前
「彼女の携帯ね、盗まれてないんだって」

「…そう」

「修介に送られてきたメールも、本来は坂井奈緒が亡くなる前に送られてきていた」

修介は黙っている。

「つまり内容は、坂井奈緒、お母さん、修介しか知らないはず」

私は続ける。

「…お母さんに聞いた。坂井奈緒が亡くなった日、最期まで病室にいた人がいた」

つまり。

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