さよならの十秒前
呼び出し音数回で、小泉修介が出た。

「もしもし?」

「…島井ナオです。昨日の」

「あぁ」

小泉の声はさほど驚いてもいなかった。

「ねぇ、坂井奈緒さんの死について、なんだけど」

「うん」

「…彼女の死には、何か隠されていると思う?」

私の問い掛けに、受話器越しに小泉が息をのんだのがわかった。

「…思うよ。だから島井さんに、声を掛けた」

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