さよならの十秒前
紗枝はチーズバーガーを頬張って、私の顔を見た。

「で?」

「うん?」

私が首をかしげると、紗枝は吹き出した。

「うん、じゃないよぉ。島井がわざわざ呼び出すなんて、何事」

「あ、いや…」

少しためらってから、私は尋ねた。

「坂井奈緒のことなんだけど」

「坂井?」

紗枝はキョトンとした。

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