さよならの十秒前
「どうしたの?紗枝、ここ高校生用のだよね」

そう尋ねると、紗枝は気まずそうにまた笑った。

「あぁ〜…ちょっとね。高校生ってどんな勉強しているかな、と」

「ふぅん?」

あまり詳しく詮索するのは止めておいた。

なんだかさっきの紗枝の横顔は、近寄りがたいくらい真剣だったから。

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