さよならの十秒前

公園

「ほら」

私は西野に一番安いミネラルウォーターを手渡し、彼の横に座った。

「…どうも」

少し頭を下げて、西野は両手でそれを飲んだ。

曇りの日でも公園は暑いし、いつものように子供が遊んでいる。

坂井奈緒もそうだったのだ。

晴れの日も雨の日も。

彼女は病院に居続けた。

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