さよならの十秒前
修介が退院してからも、奈緒は病院に居続けた。

その後も修介は、奈緒の病室に通い続けた。

何度も。

何度も何度も。

三年になって、奈緒は一度、学校に行きたいと言った。

始業式の日だけ、行くことを許可されたのだ。

でも、それは。

もう余命いくばくもない、奈緒の最期の願いだった。

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