さよならの十秒前
私たちが、坂井奈緒について無知だったように。
私が死ぬときも、誰の心にも残らないのかもしれない。
ニュースにならないどころじゃない。
誕生日のときみたいに、一人で、ひっそりと。
私はもう一度、501号室のドアを見つめた。
私が死ぬときも、誰の心にも残らないのかもしれない。
ニュースにならないどころじゃない。
誕生日のときみたいに、一人で、ひっそりと。
私はもう一度、501号室のドアを見つめた。