三日月<本編>
変化
約束の日、学校の授業は特別講義だけで昼過ぎに終わった。


5時からクラスの10数人でボーリング大会の予定がある。それまでの空き時間に映画を観に行こうって事になった。


ちあきが勢いよく返事してしまった通りに 拓也は4人も他に誘っていて、計六人で映画館へ向かった。


《なんでこんないっぱいで行くねん↓ほんまいらん事言ってもぉた…》


ちあきはやっぱりテンション低かった。

拓也は何も言わへんけどちょっと不思議そうな顔で見てきた。


《せっかく拓也が誘ってくれた映画やのに、大勢で観て終わるんや…》


そう思っていたら、幸か不幸か、公開したばかりのその映画のチケットは1日分全部完売。

観れない。



内心かなりほっとした。


「またの機会やなぁ」


拓也の言葉を聞いて、次は2人で来ようって決めた。



映画が見れなかったのでボーリングまで、前数人で来た事のあるビリヤード場で時間をつぶした。



ボーリングは結構人数がいて、真剣にというよりはワイワイ遊ぶ感じの雰囲気。



人が多い分、自分の順番が回ってくんのが遅いから自然とあちこちで会話もはずむ。


ちあきは、普段からよく話す陽子の、彼氏との同棲話をリカと聞いてキャアキャアと盛り上がっていた。



すると、


「何盛り上がってるん?」

と、拓也がちあきの隣に座った。


陽子が話すラブラブ話にリカとちあきはいいなぁとますます盛り上がり、拓也も

「めっちゃラブラブやなぁー」

と笑ってる。


すると、陽子が彼氏の寝顔の写メールを見せてくれて、その寝顔があまりに可愛いくてちあきは


「めっちゃかわいいねんけどー!」

って興奮して自分の膝の上に置いている拓也の手に思わず、ねぇという感じで触れた。




その瞬間、ほんの少しの間、ちあきの手は拓也の手に包まれていた。
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