三日月<本編>
専門学校に入学してから1ヶ月ほど、顔は知ってても名前すら知らんかった。


気にもしてへんかったし、それどころか違う人が気になってたくらい。



やのに名前を知った日


初めて話した。


アドレス交換をしたんはクラスメイトやから。


その日朝まで一晩中メールした。



そうやって拓也は急にちあきの中に存在を置いた。



何回もな、あの日に話してなかったら。

アドレス交換してへんかったら。

メールせぇへんかったら。



そう思った。



悩んでもしんどくても結局ちあきの気持ちは変えられへんかったから。


いっそ知らんかったらと思ったんやん。


でも


楽しくて幸せな時間もあるんやからそんなん思ったらアカンって…言い聞かせてたんやで。
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