三日月<本編>
拓也と電話すると、四時間はあっという間に過ぎた。

それでも、電話を切る時は寂しい。



拓也と連絡を取り続けた連休が終わり、また学校が始まる。


教室に入って拓也の姿が目に入った時、なんかちょっとだけ照れくさかった。


なんか不思議な感じ。


周りにいる他のクラスメイトとは違う何か…



拓也は学校であんまり女と話さない。 というよりも、クラスや学科関係なしに男の友達がかなり多いから、ほとんど男と話している姿しか見た事がないし休み時間はいつも喫煙室に行く。



でも、学校が終わったらメールがまた始まる。


始めるのはちあきからで、

<聞いて拓也っ(>_<)>

とか、

<今日の授業でさ…>

とか課題の事とかで、要はなんでもよかった。



それで、メールが夜中まで続くかたまに電話をするかで、どちらにしても夜の2時くらいまでになることがほとんどやった。



寝不足に弱いちあきやのに、すっかり寝不足。

それでも拓也と話していたかった。




一週間で毎日のやりとりが当たり前になった。





土曜日。学校も休みでちあきは予定なかったから、夕方に起きて家のソファでダラダラしてた。


昨晩から拓也とメールが続いている。


今日は先輩がやってるバーに一人で遊びに行ってるらしい。


<ちあき、バーとかあんまり行った事ないわ☆>

<ほんまに?おもしろいで☆他はあんまり行かへんけど俺がいつも来るここはおもしろい☆実はちょっと手伝いでバイトしてた事あんねん☆>


《拓也のバーテンダー姿……モテるやろうなぁ…》


バーに飲みに行くなんてしたことなかったちあきには、バーテンダーのイメージはシェイカーを振る姿だった。



そんな事を考えてまた返信を待ってたら、着信音が鳴った。
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