闇と深紅に招かれて~完結編~
「だから、不思議なんだ。冴子に
とってここは敵だらけの危険な場
所だってことになる。相手の魔王
の力も常に危ういわけだし。
なのに、冴子は、何で、
今更、ここへ来たんだろう?」
「それは、すごく、エイジュのこ
とが、好きだったから・・・」
言っていて、自分でも自信が持て
なかった。
あの、純粋でパワフルで、まっす
ぐそうだと言えなくもない冴子の
中に、そういう激しさみたいなも
のは、感じなかったから。
じゃ、何で?
けれど、そんなことを考えている
暇はなかった。
「とにかく、行こう。」
あたし達は階段を駆け下りて、屋
敷を出た。