”つぼみ”

 「俺、言いすぎ?」

タケルが僕に聞いてきた。

僕は、うなずいた。


 「でもさ~、今、虐待されてるんだったら

 仕方ないけど、今ないんだったら、

 そこにこだわらない方がいいと思うんだ。

 過去の事にとらわれても、意味ないよね?」



 「タケルはさー、虐待された事ないから、

 わからないんだよ!」


 「勇樹は、あるの?」


 「ない…」


 「勇樹だって、わかってないじゃん。」


 「…タケルはさー、人の心にずけずけ

 入りすぎなんだよ。」


 「入ってみないと、わかんないでしょ?

 特に、あいつの場合、なんか、すっきり
 
 しないんだよね。」
< 57 / 70 >

この作品をシェア

pagetop