”つぼみ”
「俺、言いすぎ?」
タケルが僕に聞いてきた。
僕は、うなずいた。
「でもさ~、今、虐待されてるんだったら
仕方ないけど、今ないんだったら、
そこにこだわらない方がいいと思うんだ。
過去の事にとらわれても、意味ないよね?」
「タケルはさー、虐待された事ないから、
わからないんだよ!」
「勇樹は、あるの?」
「ない…」
「勇樹だって、わかってないじゃん。」
「…タケルはさー、人の心にずけずけ
入りすぎなんだよ。」
「入ってみないと、わかんないでしょ?
特に、あいつの場合、なんか、すっきり
しないんだよね。」