”つぼみ”

 「あぶない!」

僕は、普段あまり大きい声を

あげないタイプだ。

だが、その時は、自分でも

びっくりするくらい大きな声が

でていた。

彼女は、僕の方を見上げた。

彼女にも見えたはずだ。

美咲が、足を出して、つまずかせようと

した事を。

彼女は、何もなかったように、

僕の隣に座った。

僕は、「大丈夫?」

と聞いていた。

彼女は、何も答えなかった。

それでも、僕は嫌な気がしなかった。
< 6 / 70 >

この作品をシェア

pagetop