”つぼみ”
僕は、その様子を、公園の
外から、全部見ていた。
出て行くタイミングを完全に
逃してしまっていた。
瑠奈達が、いなくなった後、
未来は、地面に落ちた自分の髪の毛を
じっと見つめている。
「大丈夫?」
翼の問いかけに、無表情のまま
未来がうなずいた。
その未来の様子は、小さな子供のように、
僕には、見えた。
「こわかったでしょ?」
翼は、そう言って、未来の頭を
抱きしめた。
僕は、一瞬、
めまいがした。