スーツを着た王子様
「おい…桃どうした?」
珍しく早く帰宅しているたっくんに、声をかけられる。
「…なんでもなぃ…。」
「何でもないって、
そんな顔しといて何でもないわけないだろ。」
「…ほんとに何でもないの!」
普段はたっくんに
キツく当たったりなんてしないのに…
「おいッ!桃!」
私は階段を駆け上がって、
部屋に閉じこもる。
その日は、
何度も結城さんから電話が来たけど…
1回も出なかった。
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