スーツを着た王子様



学校が見えた時、

同時に目に入る見覚えのある横顔。



結城さんだ。


いつもなら真っ先に走り寄る。

走ってって、元気に
「おはようございます!」
って言うんだ。



でも今日は足が動かない。


結城さんの方に行きたいのに…

笑顔が見たいのに…
声が聞きたいのに…


あの大きな腕で、

ぎゅっとして欲しいのに…





思いとは裏腹に、

足は結城さんを通り越して、学校へ進んでいた。








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