スーツを着た王子様
出会いは突然に
……ドンッ!!
「きゃっ!!」
いたたたたた…
前を見ずに歩いていた私は勢い良く誰かにぶつかってしまった。
「あ〜ごめん。…大丈夫?」
…へ?
頭上からは男の人らしき低い声。
見上げると、
スーツを着て黒い縁のメガネを掛けた男の人だった。
「あッ…
こちらこそごめんなさい!
全然大丈夫です。」
「あ、そう、よかった。」
その男の人は一言だけ言って、私とは逆方向に歩いて行ってしまった。