寝ている妹にキスをした☆



この人はお兄ちゃん!!
この人はお兄ちゃん!!


そう自分に言い聞かせて、電話に出た。


“お兄ちゃん”の顔は見れなかった。


今、どんな表情をしてるのかな…。



なんとも思ってない?
それとも傷ついてる?



傷ついていて…ほしい。



『雛?俺~』


「た、拓哉!!」


電話口から拓哉の声が…!!
電話の相手は拓哉だった。



『今、お前の家来てるんだ。玄関見てみて』


ええ?!

拓哉が家に――?


急いで玄関に向かって、重い扉を開いた。


「おはよ」

「拓哉…」


玄関の外では、拓哉が立っていた。

嬉しそうに笑ってる拓哉に、ちょっと罪悪感が沸く。


こんなに……嬉しそうなのに、あたしは……。


お兄ちゃんにバレたくないと思ってる。


拓哉と付き合ってること、拓哉が迎えに来ていること……。


知られたくないんだ。




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