寝ている妹にキスをした☆







夢を見た。








陸があたしから離れていく夢。



陸はあたしから背を向け、歩いて行く。



行かないで…




声が出なくて、陸はどんどん離れていくのに、


あたしは動けないまま。

陸を呼び止めることも出来ない。


陸を追いかけることも出来ない。



ただ、見ているだけ…。

涙だけは勝手に出る。


あたしが出てほしいのは、陸を呼び止めるための声なのに。





やだ…
行かないで…そばにいて…。
あたしを離さないで。
ひとりにしないで…!!










「諦めなさいよ。」


…誰!?


突如聞こえた声。


気付けば、いつの間にか現われた皐月の姿。




「陸さんはあたしを抱いたのよ??
本当は、雛のこと好きじゃないの」


……違う


―嘘…!嘘だよ…!!


―陸はあたしを好きって言った!!

―陸はあたしを愛してくれたもん…!!





「……陸さんは、わたしと幸せになるんだからーー…」





皐月が、走り出して陸のもとに向かう。


…嫌!!


行かないで!!!
陸はあたしのもの!!

触らないでぇ!!



皐月が、陸の腕にまとわりつく。



やだやだやだやだ……!!!




さわらないでぇっ……!!!








皐月に気付いた陸。

でも陸は嬉しそうに微笑んだ。


いつもあたしだけに見せる顔で。







陸の隣りに歩く皐月は、とてもお似合いのカップル…。




いやいやいやいやいや…


どうして??


陸の隣りは、あたしの特等席でしょ??


なんで皐月がいるの??



振り向いて…っ……








そんな願いも叶わないの??


陸が好きなのに…
嫌……






陸………!!







あたしから離れて行かないでぇぇーーー…!!!










< 298 / 306 >

この作品をシェア

pagetop