初恋彼女
その瞬間俺の中に何かがかけめぐるような感じがして
監督の一番きつい基礎トレの10本100メートルダッシュの後よりも
心臓が動いたような気がした。
同時に恥ずかしくなって
俺はもう一度手元に視線を戻した。
すると彼女も自分の問題に目をやっていた。
「さとみちゃん、宿題やってきた?」
「あ、はい」
先生は「さとみちゃん」といっている
そして手元にあるテキストには「加藤さとみ」の文字。
やっぱり、先輩だ・・。
先輩
俺、このときわかってませんでした。
先輩に・・惚れてるってこと
俺はそのあと数学の問題をいくつかやって
そろそろ1時間半。塾も終盤だ。
「じゃあ、さとみちゃんはここまで、祐真くんはあと1問ね」
先輩は帰る準備をはじめる。
・・まてよ?
時刻は8時半
外の自転車置き場には自転車はなかった。
先輩ひとりって・・女の子なのに危なすぎる。
やべえ、急げ
俺は急いで問題を終わらせると
足早に塾を出た