PRINCESS☆STORY


「……全く、もう……」


マダム スーザンは、大きく溜
め息をついた。


もうお気づきだろうが、今さっ
き廊下を走り去った人物こそ、
この国の王

《キング ビリウス》

の愛娘、

《プリンセス アリシア》

なのだ。


このプリンセス、少々……いや、
大分お転婆ではあるものの、さ
すが元は人望の厚い両親の血を
引く者。


城中のメイドやチューター、
執事やシェフ、大臣たちに至る
まで皆の名前を覚え、感謝・尊
敬の念を忘れない。


だからこそ皆に愛され、プリン
セスの世話を嫌がる者は少ない。


……そう、少ない。


まあそのあたりのお話は、もう
少し後に致しましょうか。




「……プリンセス。
このまま逃げられるとお思いに
ならないで下さいね……?」


場面は再び先ほどの現場。

プリンセスの悪事を目の当たり
にしたスーザンは、意味深な言
葉を呟き、口元を小さく吊り上
げた。
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