PRINCESS☆STORY


マダムは徐に懐からあるものを
(文明の進化の賜物とでもいっ
ておこうか)取り出すと、



「……もしもし?

私、スーザンで御座います──」



何やらスーザンは、掌に握る細
長く硬い物体に話しかけた。


そんな彼女を、短期アルバイト
として初めて城内に入り説明を
受けていた下級兵達は不思議そ
うに眺めていたが、

そんな彼らを案内していた上級
兵、すなわちこの城のいろはを
熟知している兵士は、

「またか」

と感想を漏らし、にこやかに微
笑んでいた。
< 6 / 27 >

この作品をシェア

pagetop