PRINCESS☆STORY
マダムは徐に懐からあるものを
(文明の進化の賜物とでもいっ
ておこうか)取り出すと、
「……もしもし?
私、スーザンで御座います──」
何やらスーザンは、掌に握る細
長く硬い物体に話しかけた。
そんな彼女を、短期アルバイト
として初めて城内に入り説明を
受けていた下級兵達は不思議そ
うに眺めていたが、
そんな彼らを案内していた上級
兵、すなわちこの城のいろはを
熟知している兵士は、
「またか」
と感想を漏らし、にこやかに微
笑んでいた。