PRINCESS☆STORY
──10分後
「……スーザン」
アリシアは今、スーザンの待つ
自室へと戻ってきた。
……兵士に連れられて。
「ターナー、もう逃げないから、
持ち場に戻っていいよ?」
アリシアは自らの肩をガッチリ
と押さえている、もうすっかり
顔見知りの
《兵士 ターナー》
に話し掛けた。
ターナーはチラリとスーザンの
ほうへ視線を向けると、彼女が
苦笑いを浮かべつつも首を縦に
振ったのを見て、
「失礼致しました、プリンセス
アリシア。
ですが城の外は大変危険ですの
で、脱走などお考えにならない
ように。
マダム スーザンがお倒れにな
ってしまいますよ」
と一言添えると、自らの持ち場
へと戻っていった。
そんな彼に笑顔で手を振り、
「はーい!」
と元気に返事をしながら見送っ
ているアリシアは、後ろから注
がれるスーザンの
"お説教のお時間ですよ"
と言いたげな視線に気づくこと
はない。