PRINCESS☆STORY
《第1章》

悩めるメイド キャロル



──トントンッ


それは、ある日のこと。

プリンセスの自室のドアが、誰
かにノックされた。



「だあれー?」


ベットに寝そべり外を眺めて暇
をもてあそんでいたアリシアは、
間延びした返事をした。


「……メイドのキャロルで御座
います。
少々お時間頂いても宜しいでし
ょうか? プリンセス。

お紅茶とお菓子もお持ち致しま
した」



キャロルって……誰だっけ?

ああ、メイドの中で1番可愛い
って有名なあのメイドさんか!



しばらくの間、キャロルの顔が
思い浮かばず必死に記憶の糸を
紡いでいたが、流石はアリシア。

城内に何百人もいる使用人の中
から、該当する1人のメイドを
導き出した。


確か彼女は、顔だけじゃなくて
料理の腕も最高だったはず。

ならば彼女のケーキはさぞかし
……むふふっ。



「どうぞーっ!」



そんな下心を心に秘め、アリシ
アはキャロルに入室の許可を出
した。
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