ゲームセット
携帯をいじりながら歩く茜に、
前を見たまま話しかけた。
『なぁ、まゆってさ・・彼氏とかいないの?』
「いないよ。なんで?プリクラみて一目惚れでもした?」
『そういうんじゃなくて…。なんでメールしてんのかなって思って。本人に聞こうとしても話逸らすし。』
「気になるの?」
向き直って、
茜にまっすぐ目を見て聞かれる。
『いや、なんていうか…』
うまく言えない俺に、
かぶせるようにして茜が聞く。
「まゆのこと、好きになっちゃった?」
『違うよ。会ったこともないのに好きになるわけないだろ。じゃなくって、なんか理由があるからメル友が欲しかったんでしょ?なんでかなって思ったんだよ』
俺の顔を、
疑わしく見たあと、
茜は、
気まずそうな顔をしながら、
重たい口を開いてくれた。