laughmaker

「なあなあ、これって今日のやつー？」



うちの劇場ではライブごとにアンケートをとる。

今日のぶんをまとめていると永瀬さんが聞いてきた。



「あ、そうです」

「ふーん、見せてー」

「あ、どうぞ、」



すっとアンケート用紙を取って眺める。

明るい茶色の髪にグレーのスーツ。

どちらかというと中性的な顔立ち。




「うわ、めっちゃいいこと書いてくれてる！」

「ラフメイカーさんかなり人気ですよ、」

「ほんまに？かんどー！」



くしゃっと顔を崩して笑う。

ほんとに、かわいいな。




「いずみ、さん？」

「ん？」

「これ、いずみさんって誰ですかね？」



アンケート用紙にかわいい女の子の字で書いてある

「泉さんかっこいい！おもしろい！」という文字。




「亮太、」

「あっせんちゃん！」



少し離れたところで真っ黒スーツが永瀬さんを呼んでいる。



「そろそろ行くで、」

「うん、あ、それ、あいつのこと！」



アンケート用紙を指差し私に言う。



「泉って書いてせんって読むねん」

「亮太ーはよー」

「うん、わかったー！　ほんならまたね、ひなちゃん！」



ぶんぶんと手を振って去って行った。

あれ、私の名前、なんで知ってるんだろ、