神様を信じる小さないきもの
まゆちゃんとの思い出。
それは私が幼稚園という初めて集団社会に入って、元より人見知りの激しい、引っ込みがちな性格の自分にとってあまり居心地の良くない場所にいい気分になれなかった時、唯一救いだったのが、同じ組で友達になれた、まゆちゃんだった。まゆちゃんも、私同様に、口数が少なく、先生に何か聞かれても、もじもじするばかりで何も答えられない様まで同じだった。
お弁当もなかなか食べ終らず、泣いてしまうところも。
だから、二人だけぽつりと取り残されながらよく最後までお弁当を食べさせられていた。
早くお弁当を食べて、外にみんなと一緒に遊びたい。そんな思いから、途中で食べるのを止めて、弁当箱をカバンにしまって、外に出ようとした時、まゆちゃんは初めて私に口を開いた。「食べものはちゃんと食べないと、食べものがかわいそうだよ」
たぶんこんな事を言ったと思う。
私は言葉の意味が解らず、まゆちゃんを無視して教室を出ようとしたが、まゆちゃんが一人一生懸命食べてる姿を見て、出て行くのを止めた。
何だかまゆちゃんに負けたような気がしたかもしれない、私は再び弁当箱を広げて食べ初めた。
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