蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
差し出された手を、空は無言で見つめていた。


暫し部屋の中を沈黙が支配し、空は震える声で呟く。


「……わたしが一緒に行けば、あなたに迷惑をかけてしまいますよ……?」


氷悠は迷う事なくはっきり告げる。



「何もかも承知の上だ」



その言葉に空は泣いてしまった、もうずっと諦めていた。



ここから一生出る事もなく、外の世界へ行けず、本当に欲しいものを手にする事はできないと。



自分の殻を壊せないでいた空を、たった一言で目の前の少年は壊した――



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