蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
「氷悠、氷悠!透水が行っちゃいますよ」


空の声で我に返った氷悠は、もう先に行ってる空の後を追う。


樹木に覆われてしまって空は見えない。三メートル以上の高木がいくつも連なっていて、先が見えず氷悠は、はぐれたら面倒だなと思った。


「地面が湿ってる……空、足下気をつけろ――って」


氷悠が声をかけた瞬間、空は派手に滑って顔から突っ込む。こんなお約束な展開になるとは予想していなかった氷悠は、呆然とする。


「ったく……ほら」

「すみません……」


氷悠が差し出した手を空が取った時、先に飛んでいった水透が鳴く。


「水の中に祠?出口も近いようだ。歩けるか?」

「なんとか」

「今度は転ぶなよ」

「はい」



氷悠はこの先大丈夫だろうか、と微かな不安を覚えるのだった。



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