蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
微動だにしない氷悠と空に少年は、笑みを浮かべた。


「水を祭る祠へようこそ」


氷悠が慎重な面持ちで口を開く。


「祠森は、祠を守るための森か?」

「うんそうだね。正しい名は、祠守。森は祠を守る鞘みたいなもの。森を顕すために、守を森として使っててさ。

おれたちの上の水神、魁様がすべて決めた事なんだけど」


氷悠が考え込んでいると、空が首を振る。


「おかしいです!この世界すべて、蒼竜が護っているんじゃないんですか!?」

「空……?」


氷悠が怪訝そうな顔をする。


少年はそうか、と一言だけ呟いた。



「君が、帝国の隠していた蒼姫か。蒼竜は帝国の守護神とされているけど、蒼帝が縛っているに過ぎない。

この呪縛を終わらせるのは、蒼天ノ剣を手に入れし者だけ」



空はそのまま地べたに座り込んでしまう。



今まで、自分の信じていたものは何だったのか。



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