蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
*4*不器用な優しさ
どうして、蒼帝は嘘をついたのだろう。
どうして、ずっと部屋から出して貰えなかったのだろう。
空は俯いたまま、今まで自分に教えられた事が真実じゃなく偽りで、信じていたものが、こんな簡単に崩れた事がショックだった。
氷悠は深行を見据える。
まさか同行を申し込まれると思っておらず、ある目的のために自分は故郷を出、帝国で出会った胡散臭い男に頼まれ、帝国の姫空を連れて逃走――
正確には騙されたの間違いかもしれない、と氷悠は思い直す。
深行がふう、とため息をつく。
「当然今すぐ答えが出ない事は承知してる。ここは、おれの聖域だからよほどの事がない限り、壊れないし見つからない。
だから、考えるといい」
それが妥当かもしれないと、判断した氷悠は頷く。
「ああ、わかった」
それを聞くと、深行と深葉那はすうっと消えて、空と氷悠だけが残された。