蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
いつもそうだ。


当たり前の事がわからない。だから、周りの反応と違う自分を故郷の人々は――氷悠はそこまで振り返り、我に返る。


それでも、空の事がほっとけず氷悠は空と背中合わせに座った。


空は何も言わない。


「オレには、弱音吐けばいい」

「……どうして、優しくしてくれるんですか?」

「どうしてだろうな……」


氷悠の黒髪と灰色のマントが、風でふわりと舞う。



それはほんの刹那だったが、今の空にはそれで十分で、いつの間にか微笑んでいた。



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