蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
*5*蒼海での異変
不思議な感覚だ。
水の中に飛び込んだのに、服は重くないし濡れてもいない。おまけに身体が軽く呼吸もできる、まるで魚になった気分である。
あくまでも氷悠の思った事だが。
「水の中で会話もできるし、進行案内はおれに任せてよ」
翡翠の髪は水の中でよりいっそう輝きを増し、眩しい。氷悠が思わず目を細めると、深行は苦笑いをする。
「ごめん、水の中だと髪は本来の輝きを取り戻すんだよ。それでもおれと深葉那はまだマシな方だ、魁様とおれたちとでは比べ物にならないから」
「蛍と一緒だな」
「そうそう……って!全然違う!てゆーか、虫と一緒にするなよっ」
「蛍?」
空が首を傾げる。自分の持つ本に蛍は載っていないし、初めて聞いた空は興味津々で、子供みたいに瞳を輝かせていた。